
今回は、研修講師のピョンさんに「当時困っていたこと」や「今みんなに伝えたいこと」を聞いてきました!
【背景】スポーツから学問へ。大学時代に形作られた今の自分

ピョンさんはどのような学生生活を送られていましたか?

高校時代までは、まさに「ザ・運動部」という言葉がぴったりの、スポーツ中心の生活でした。

一方、大学では学問に没頭し、興味のあることをとことん探求する4年間を過ごしました。

特にピョンさんが影響を受けたのは、どの時期でしょうか?

やはり大学時代ですね。一番濃密な時間を過ごしたこともあり、今の自分を築くうえで最も大きな影響を受けた時期です。

高校までは「いかに100点満点を取るか」を重視していましたが、大学では答えのない問いに向き合い、自分なりの理論を組み立てることに重点を置くようになりました。

点数といった評価の枠にとらわれず、自由に思考を巡らせることができる環境は、自分に合っていたと思います。

社会人になって、どのような変化を感じましたか?

社会人になってからは、自分の熱中できることが、そのまま仕事に結びついているという実感があります。

大学時代に培った論理的思考力や、正解のない状況でも結論を導き出す力は、現在の仕事にも活かされていますね。
【困りごと】伝えることの難しさと向き合う日々

大学時代を振り返って、苦労したことを教えてください。

大学では英語や国際関係について学んでいましたが、就職を意識するようになる中で、ITなどの情報分野に興味を持つようになりました。

そうした変化の中で、これまで一緒に過ごしてきた友人たちとの会話に、少しずつズレを感じるようになっていきました。

もちろん、友人関係が崩れたわけではなく、変わらず交流は続いていました。

しかし、ITの話題になると、「話がうまくかみ合わないな…」と感じる瞬間が増えました。

伝えたいことがうまく伝わっていないと感じたとき、ピョンさんはどのような気持ちになりましたか?

辛かったというよりも、新しい視点を持つことで、それまでの当たり前だった共通の話題にギャップを感じるようになりました。

興味の対象が変わることで、相手と理解を深める難しさを改めて実感しましたね。

新たな分野への興味・関心が、周囲とのコミュニケーションに影響を与えた要因は何だと思いますか?

そうですね。自分が「面白い!」と感じたことを、そのままの熱量で話してしまい、相手に伝わるよう工夫できていなかったことが大きな要因だったと思います。

人それぞれ関心のある分野は異なるため、自分が新たに飛び込んだITの世界で感じた魅力が、これまでのコミュニティで共感されにくいことは、自然なことだったのかもしれません。

ピョンさんは現在、研究開発に加えてITの研修講師もされていますよね。

はい。研修講師としてITの魅力を伝える仕事もしています。

大学時代に「伝わらなかった」経験をしたことで、「どうすれば伝わるのか」「聞き手が興味を持つにはどのように説明すればいいのか」といった視点を持つようになりました。

具体的に、どのような工夫をされていますか?

研修では、受講者の関心度に応じて伝え方を変えるようにしています。

テーマに興味のある人が多い場合は、最新のユニークな情報を取り入れながら、自分が感じた「面白さ」を交えて、より魅力的に伝えることを心がけています。

そうなのですね。ITにあまり馴染みのない人たちに面白さを伝える場合は、どのようなことを意識されていますか?

身近なものにたとえて話すなど、できるだけわかりやすく噛み砕いて伝えるようにしています。少しでも興味を持ってもらうことが大事だと思っているので、“伝わる工夫”は常に意識しています。

聞き手と自分の視点が異なるからこそ、「どのように伝えるか」は今後も向き合うべき課題ですね。

伝え方以外に、ピョンさんが大切にされていることを教えてください。

ネガティブな諦めではなく、ポジティブに諦めることです。

相手の関心がなければ心を動かすことは難しいですよね。

確かにそうですね。全員が満足する研修を行うのは、現実的に難しい側面もあると思います。

もちろん、楽しくわかりやすい研修を設計し、できるだけ多くの人を引き込みたいという想いはあります。

しかし、興味のない人を無理に巻き込もうとしないことも伝えるうえでの配慮です。

その視点は重要ですね。ポジティブに諦めるという考え方は、ご自身の心理的負担を減らすことにもつながりそうです。

はい。必要以上に気負わず、ポジティブな諦めを持つことで、自分の心を守ることにもつながっています。
【合理的配慮】

研修講師として伝え方を工夫する中で、自分の「好き」を上手く伝えられないと感じる方に、どのようなアドバイスをされますか?

まず、自分の「好き」を思い切って宣言してみませんか?と伝えたいです。

SNSで発信する、ブログを書く、趣味の作品を公開するなど、自分の興味・関心を社会に対して「見える形」で表現してみて欲しいです。

そうすることで、同じ興味を持つ人たちに出会えるだけでなく、自分らしくいられる居場所やコミュニティも、少しずつ見つけやすくなると思います。

大学で異なる学部の人と話してみるなど、実生活の中できっかけを作るのもいいですね。

「この指止まれ!」という気持ちで、自分の「好き」を大切にしながら、前向きに行動してみてください。
- 同じ境遇の人へ
周囲との会話がうまくいかないと感じることがあっても、それはあなたが新しい経験や知識を手にしつつある証です。
無理に相手を変えようとするのではなく、自分の「好き」を信じ、大切にし続けましょう。 - 身近な人(家族・親友・恋人)へ
自分と関心の違う話題には、なかなか共感できないこともあると思います。
無理に理解しようとするよりも、まずは「そういうのが好きなんだね」と相手の関心を尊重してみてください。 - 周囲の人へ
自分の考えや興味を伝えるときは、相手に伝わる形で話すことも大切です。
自分のペースを押し付けず、相手の立場や気持ちに寄り添って話すことを心がけてみましょう。